2013年9月2日月曜日

ことほぎをはじめます。



今日もこのページにお越しくださってありがとうございます!


このブログの頭についてる、「ことほぎ」…

れっきとした日本語ですが、あまり知られていない言葉かもしれません。

今日はちょっとだけそのお話。
もしかしたらちょっとだけマニアックかもしれないけど、ご容赦ください。


私がこの言葉を知ったのは、
芥川龍之介の小説『老いたる素戔嗚尊』からでした。
いや、もうマニアックだけど、ちょっと待って…

素戔嗚尊=スサノオノミコト、と読みます。
この名前なら聞いたことある方もいるのではないでしょうか。

天照大御神(アマテラスオオミカミ) の弟で、
そのあまりのやんちゃぶりを天照大御神が嘆いて、
天の岩戸に閉じこもってしまった…という話は有名。

ちなみにこの天の岩戸は今の宮崎県高千穂地方に本当にあって、
実は昨年末に行ってきました。
写真は神々が天照大御神をどうしたら岩戸から出せるか、
相談するために集まったとされる「天安河原」で撮ったもの。↓
(この圧倒的パワースポット感、伝わるでしょうか。)



芥川の小説は、そんなやんちゃだったスサノオが年老いてからのエピソードを、
古事記の記述を元に物語化したものです。

どんな物語だったかというと…
(できる限りはしょると)
暴れん坊だったスサノオも妻を亡くし、今は娘と二人暮らし。
そこにある日、一人の青年が迷いこんでくる。
即座に恋に落ちる青年と娘。
スサノオは当然認めず、青年を散々ひどい目に遭わせるが、
最後は手を取り合って逃げていく二人に、大きな笑いを送る。


”それから、——さもこらえかねたように、瀑(たき)よりも大きい笑い声を放った。
「おれはお前たちを(ことほ)ぐぞ!」
 素戔嗚は高い切り岸の上から、遙かに二人をさし招いだ。
「おれよりももっと手力(たぢから)を養え。おれよりももっと智慧を磨け。おれよりももっと、……」
 素戔嗚はちょいとためらった後、底力のある声で祝ぎ続けた。
「おれよりももっと仕合せになれ!」”



私は、芥川なんていう、国語の教科書に載ってるような人物の、
古めかしい上にかなりマイナーなこの話を読んで、
うっかり泣きかけました…。

老いていく父親と、これからの未来を担う二人の姿。
普遍的な人間ドラマがそこにはあって、
しかも最終的に娘たちの幸せを祝うスサノオ、
格好いい。潔い。

ことほぐ、という言葉の響きも美しい。
日本語には元々、言葉そのものに魂が宿る、
その指し示す意味だけではなくて、言葉自体が神聖なもの、
という考え方があったのだろうと思います。

言葉を贈ることが祝うことになる。

なんだかそれって、素敵だなー。
そんなわけで、どうせ毎日使うものなら、
呪いではなく祝いの力を言葉に乗せて届けたいと思っています。


You are my inspiration. thank you...

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