2015年1月18日日曜日

糸の話。




特に大した事件ではないし、
あえて言うほどのことでもなかったから、
今まであんまり人に話したことのない話。


数年前の、ある休日の朝のことです。

特に用事もなかった私は、ふと、あるカフェに行こう、と思い立ちました。

・・・

子どもの声で溢れるにぎやかな公園を奥へ奥へと歩いていくと、
突然、森の中に迷い込んでしまったかのような一角が現れます。

林道の中ほどに、そのカフェはぽつんと建っていました。

一軒家風の洒落たつくり。
ガラスの引き戸をそっと開けて中に入ってみると、
いい風合いの木机と椅子に、白いストーブ、うさぎの置き物……

そこはまるでおとぎ話のような素敵な空間で、
出されたハーブティーもとても美味しくて、
わたしは心の底からほっこり満足しました。


……すごくいい気分でそのカフェを出た後、

やっぱり特に用事もなかった私は、
そのまま何となく、駅前の古本屋さんに入りました。

特に何を探すでもなく、ぼんやり本棚を眺めていると、
ふと、一冊の本の背表紙が目に留まりました。

その辺によくありそうな、タレントのエッセイ本です。

何となく、最近この人テレビで見るよなー、と思って、
その本を手にとると、なんだか変な感じがしました。

いえ、実際には感じたのかもわからないような微かな、
誰かに髪の毛を一本だけ引っ張られたような、
ほんのささいな感覚だったと思う。


……?


そのままページをぱらぱらとめくっていくと、
そのタレントさんがどこかに座っている写真が出てきました。

そこでようやく。

あ。


ここ、さっきのカフェだわ。


と、

気がついたのでした。


ちゃんちゃん。



◆◇◆◇◆◇


……そう、その本に載っていた写真は、
直前まで自分がいた、あのカフェで撮影されたものだったのです。
(表紙の写真はぼやけていたので気づかなかった)

興味のある方はこちらご参照↓

童話に登場しそうな森のカフェ

タレントの本


◇◆◇


論理的には説明がつかない。

けれどよくよく考えると、不思議。
でもいちいちそんなことは気に留めない。
だって日常にはよくあることだから・・・。


この世界は意外にそんな出来事に満ちていて、
私のちっぽけな頭の理解を超えたところに何か、
とっても不思議で美しくて、精妙な世界が広がっているのかも。



街を歩けば同級生とすれ違ったり、
電車で顔を上げればやっぱり同級生が立っていたり。
(私の今の家は地元から離れているわけですが)


すごく嬉しいことがあって、感謝の心あふれて、
思わず神社にお礼参りに行ったら、
帰りにザッケローニ監督と同じ車両になったり。
(実話)


家を出るのがギリギリになって、
「いっそのこと電車が遅延してくれたら堂々遅刻できるのになあ」
と思っていたら本当に遅延して、
ふっと顔を上げたらちょうど電車の止まった位置に標識があって、
なぜかそこの土地には全然関係ないのに、
私が数日前から「行ってみたいなあ」と思ってた地名が書いてあったり。
(「HAKUSAN」と書いてあった…)



因果の糸。


きっとそこら中に張り巡らされているのだと思います。
見えないだけで。


そこにもここにも。錯綜している。




*写真は超変人で名高い南方熊楠の書いた「南方曼荼羅」です。
因果と縁の理を表しているとか。なんだかこの絵、好きです。




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