口に出して言うほどのことでもないので、これまであんまり人に話したことがなかったのですが・・・
「ふ。」とした瞬間。
何か、上手く言葉にできない、予感めいたものがスッと差し込んだような感覚。
それに気づいて、というより気づくより一瞬早く、意志より先に自然と頭が動いて、ふ、と空を見上げた時に、飛行機が飛んでる確率が異様に高いんです。
あ、またひこうき飛んでる。
あまりにそう思うことが多いので、ひょっとしたら皆も口に出さないだけで、当たり前のことなのかな、と思っていました。
もしくは、私は空港のある街で生まれ育ったので、妙なご縁があるのかなとか。
東京で見る飛行機の小ささには、未だに少し慣れないのだけれど(実家の上空だと機体に書いてあるロゴまで見える)。
◇◆◇◆◇◆
この飛行機の話に関連して、思い出すエピソードがあります。
少し前に読んだ『アミ 小さな宇宙人』という物語に、こんな場面がありました。
宇宙人のアミが主人公の少年ペドゥリートを空飛ぶ円盤に乗せて、はるかかなたの惑星に行くシーン。
別の円盤がすれ違いざま、アミたちに向かって光の合図を送ってきます。
アミもいたずらっぽく笑って合図を返します。それを見ていたペドゥリートは、不思議に思ってこう尋ねます。
「どういう意味なの?あの光のサインは」
「あいさつだよ。友情のしるしだ。おたがいにとても好感がもてたんでね」
「どうしてわかるの?」
「感じなかったかい?」
「感じなかったと思うけど・・・」
アミは柔らかに語りかけます。
「それは、自分をよく観察していないからなんだ。外部にはらうのとおなじくらい、自分じしんに注意をはらっていたら、たくさんのことが発見できるんだよ……。あの円盤が近づいてきたとき、なにかある種のよろこびのようなものを感じなかった?」
「わかんない。たぶん、感じなかったと思う。ひょっとするとぶつかるかもしれないと心配していたから……」
(徳間書店『アミ 小さな宇宙人』2009年、175-176頁より)
ペドゥリートは、読んでいて少し苦しいくらい、私たち現代人の姿を表してくれていますね。。
ふと見上げるたび、空を飛んでく飛行機。
どういう意味があるんだろう、何かメッセージがあるのかな、なんて頭で考えてみてもちっとも分からなかった。
その代わり、感じてみよう、感じてみよう、とやってみたら、なんだかすごく単純に、わかりました。
優しい感じ。励まされてる感じ。
どこへでも行けるよー。
もういい加減、羽ばたきなさいな。
お空は広いよ。
と、言われているような感じ。
根拠も理屈もあったもんじゃない。
でも感じる。
だったらそれがすべて。
だってそう感じたんでしょ。
それでいいじゃない。
そんなことを思うようになった、最近です。
週末に戸隠へ行っていたのですが、長野駅からのバスを降りた瞬間、飛行機。ひこうき。ヒコーキ。。
ものの数分の間に、真っ青な空にくっきりと白線を描きながら、飛んでく飛んでく。
どう見ても、どう抗っても、なんだか大きい応援団に見守られてるような気がして。
頼もしくて、明るい光が余韻のように胸の中に響き渡っていくのを、しばらくそのまま感じていました。
高いあの窓で あの子は死ぬ前も
空を見ていたの 今はわからない
ほかの人には わからない
あまりにも 若すぎたと
ただ思うだけ けれどしあわせ
空に憧れて 空をかけてゆく
あの子の命はひこうき雲
荒井由美 「ひこうき雲」より。
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